砂漠の国からごきげんよう。
機内で大きなイベントといえば、緊急事態。
緊急着陸や緊急脱出は大惨事であるが、滅多に起きることはない。
一方で、病人が発生して、緊急手当てをするメディカルトラブルはかなり高確率で発生する。そしてあなたもその一人になり得るかもしれない。
エコノミークラス、長時間の飛行は私たちCAにとってもお客さんにとっても決して簡単なものではない。密閉空間の限られたスペースの中で何百人という人たちと十数時間過ごす。座席も基本は椅子の機能しかなく、ベッドにはならない。一斉に起こされ、一斉に食事を摂り、一斉にトイレへ駆け込む。自分は暑くても、自分以外の何百人かが寒かったらキャビンの温度調整はされない。
そんな環境の中、いつもと違う環境に合わせ、周りに気を遣って無理した結果、具合が悪くなってしまったお客さんをたくさんみてきた。
私が長距離エコノミークラスフライトで見てきたメディカルケースを紹介する。
①疲れやアルコールによる嘔吐
どの年代のお客さんにも起こるが特に高齢者に多いこの症状。
消化器官や呼吸器官が麻痺してしまったり、正しく機能しなくなってしまう人がフライト中は多い。
そして、嘔吐した人が口を揃えていう言葉がある。それは、
『いつもこの時間に起きて食事をしないでしょう』
つまり、真夜中に塩分や脂質が多く量的にもしっかりしたご飯が出るため、それを口にしてさらに、すぐ眠ってしまう。また、フライトや長旅で疲れ切った体であるため、かなり体が無理をしている状態。今お腹が空いていなくても、エコノミークラスのサービス時間に合わせて食事が出され、一気に食事をして片付けてもらう。せっかくの機内食なので頂かないと勿体無い。無理をして食事をしたり、長時間座っているため、具合が悪くなってしまうという人が多かった。あるご年配のお客様は、嘔吐したあと気絶してしまった。あとで意識が戻った時に、「いつもは早く晩御飯を食べて、お風呂に入って体を暖かくして寝てる時間でしょ。それなのに、食事をいっぱいとっちゃったから気がついたら具合が悪くなっちゃった」と話してくれた言葉が今でも忘れられない。
②気絶
海外旅行、憧れのエアラインでの機内食、空からの景色に、機内で見たかった映画を見て、、、もちろん、お酒も楽しみたい。
非日常の空間で美味しいお酒を試すと、気分が上がるだろう。
意外と盲点なのは、地上と機内ではお酒の酔い方が違ってくるということ。
もちろん人それぞれなので断言はできないが、機内は思ってるより体の水分が不足している状態。さらに旅の疲れや、不慣れなスケジュールや環境で自分が思ってるより体は疲弊している。普段お酒を飲むし、強いから大丈夫と思うのは大きな落とし穴になる。
ある中年の男性の話。食事中に赤ワインを1杯、ビールを一杯ほど楽しんだ。そのあと、機内のど真ん中で失神してしまった。声をかけても、体をゆすってみても反応がない。しばらくして、意識を取り戻したが、本人は何が起こったか記憶がない。
そんなにたくさん飲んだわけでもないが、気絶してしまったり、嘔吐してしまう人は結構いた。
一杯、二杯程度でまさかと思うこともあるし、何倍も飲んで着陸寸前で具合悪いと言ってジャンプシートに座っていた私の足元に嘔吐した迷惑極まりない人もいる。
アルコールは自己責任。私たちCAはお客さんの行動や会話から判断をしてストップすることがあるが、具合悪いかどうかまでは察知できない。
機内は通常の環境ではない、異常な環境であるということを頭に入れておいてほしい。その上で自分の体と状況を判断しながら楽しくお酒を楽しんで欲しいと思う。
③風邪や熱、頭痛など
旅先で感染したかもしれないし、自分の体が思っていた以上に疲れて弱っていたかもしれないし、機内の極度の乾燥で喉がやられたかもしれないし、いろんなことがこれらの症状に簡単につながる。なってしまったらしょうがない。機内には頭痛薬や風邪薬もあるし、水も暖かいお湯も用意してもらえる。
だけど、事前に防ぐには、体の極度の疲れには警戒すること、機内の極度の乾燥や温度変化に気をつけることが大事。これはCAとして乗務している私たちも疲れや機内の乾燥が喉の痛みや風邪、熱などの症状に簡単につながってしまうため、かなり気をつけていることでもある。
以上のメディカルケースは今までのフライトで一番多くみてきたものであり、
防げたかもしれないものばかりだった。
過去の記事で座席のおすすめの選び方や機内の快適グッズを紹介したのは、これらを防ぐ一つの方法であるから。
窓側で窮屈な思いをして、具合悪いけど隣の人に遠慮をしてトイレも我慢、騒音に悩まされよく眠れない、機内は寒いし、足元を動かしたくても席を離れられない。。。そして具合が悪くなってメディカルケースへとそんなパターンを見てきたからこそ、伝えたかった。
私たちCAはサポートはできる。でも自分を守ることができるのも、自分を心地良くさせることができるのもあなた次第。
これからも、フライト中や旅の途中でアイディアがあれば発信していきたい。

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