多国籍クルーが学ぶ、冗談という名の地雷

砂漠の国からごきげんよう。

私の働く航空会社は世界のあらゆる国と地域からきた人々が働いている。路線が多様で働くチームもお客さんも多国籍であるため、世界のいろんな国の常識をアップデートしていかなければならない。

フライト前のブリーフィングでパーサー(フライト全体の責任者)が毎度チームに呼びかけることがある。

この会社に入って初めて聞いた時から私の心に強く残っていること、それは、

あなたの冗談は違うカルチャーの人には通用しないかもしれない

そして、その冗談は自分が笑えても、相手の地雷を踏むかもしれないということ。

政治的なこと、経済的なこと、宗教的なこと、何も知らずに相手の立場に立たずにうっかり面白半分で冗談を行ってしまうと、それは相手にとって不快なものになる。そしてそれがコミュニケーションの亀裂を生むと言うことを彼らは言いたいのだと思う。

昔に対立していた国もあれば、今対立して戦争している国もある。同僚はもしかしたらその国と地域から来た人たちかもしれない。

相手の文化が、自分にとっては面白くて、冗談のつもりでその文化をちょっとバカにしながら面白がったり。

お客さんの悪口を政治や文化を絡めて言ったり。

いろんな捉え方はあるけれど、それでも相手が不快になるかどうか自分の頭で考えて発する言葉を選ばなければならない。

例えば、私が、ある国の上司から言われた冗談がある。

「きみ、日本人なんだろ。だったらハードワーカーだよね。俺の言うこと全部聞いて一生懸命働け。』

彼は、冗談のつもりだったらしい。でも言われた瞬間すごく気分が悪くなった。日本人だから働き者、だから俺のために働けとはパワハラではないかと。

例えば、よく同僚から聞くのは、『インド人とパキスタン人は違いがない。似たようなものだ(笑)」とか。彼らからしたらとんでもない。政治や宗教で今も対立をしている中なのに、その背景を知らず、それぞれの国の違いをしっかり把握せずに発言した言葉。

どれだけ、パーサーが注意を促しても、それでも無知な人もいれば、相手の立場に立って考えられない人、うっかり言ってしまう人がいる。

そのうっかりの一言が、人の信頼を一瞬で無くすし、亀裂さえ生む。

私たちはクルーとして、同僚と働く上で信頼関係や円滑なコミュニケーションを築かなければならないし、お客さんとももちろん信頼関係の構築、心地よいコミュニケーションを作らなければならない。

多国籍文化で生活し、多国籍文化で働くためには、常に世界情勢や常識、人々の生活までアップデートしていかなければならないと思う。

世界には正解も不正解もない。人それぞれいろんな常識や文化、価値観や考え方を持っている。それをネガティブにしたり、否定したりせず、あるがままの姿を受け入れ違うものと共存していく社会。一人一人の気遣いと努力によってそんな社会に近づいていけばいいなといつも思いながら、パーサーのこの言葉をいつも噛み締めて聞いている。

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